部屋の雰囲気をガラリと変えたいとき、畳の上に敷くだけで洋室化できるウッドカーペットは本当に便利ですよね。「今の和室、なんか古臭いな…」と感じた週末、近所のカインズホームで実物を見て、「これなら今の車で持って帰れるし、今日中にDIYで部屋を変えちゃおう!」と即決したくなる気持ち、痛いほどよくわかります。そのワクワク感こそがDIYの醍醐味ですからね。
でも、ちょっと待ってください。元畳屋として15年、そしてリフォームの現場で数々の「失敗」を見てきた私からすると、そこには「サイズ」「カット」「運搬」という、一般の方が意外と見落としがちな3つの大きなハードルが潜んでいるんです。実は、お店に行く前にこれらを知っておかないと、買った後に「部屋に入らない」「車に載らない」「切る道具がない」と、楽しいはずのDIYが苦行に変わってしまうことになりかねません。
この記事では、カインズホームでウッドカーペットを購入する前に絶対に知っておくべきリスクと、それを回避するためのプロの知恵を包み隠さずお話しします。失敗しないための準備を整えて、理想のお部屋作りを成功させましょう。
- 6畳といってもサイズはバラバラなので実測が必須であること
- 店舗ではウッドカーペットのカット加工を断られる可能性が高いこと
- 軽自動車での持ち帰りは法律違反や破損のリスクがあること
- 手間を省きたいならネット通販のオーダーカットも検討すべきこと
カインズホームのウッドカーペット購入前の注意点
「ホームセンターなら何でも揃うし、木材なんだから加工もしてくれるだろう」と思いがちですが、ウッドカーペットに関しては少し事情が異なります。カインズホームへ足を運ぶ前に、絶対に確認しておきたい物理的な制約とリスクについて、現場視点で詳しく解説します。
6畳でも違う?団地間と江戸間のサイズ確認

「うちは不動産屋さんが6畳って言ってたから、6畳用を買えばいいんでしょ?」これ、ウッドカーペット選びで一番やってはいけない失敗パターンなんです。実は「6畳」という言葉はあくまで広さの目安であって、明確な世界統一基準があるわけではありません。地域(関東・関西など)や建物の種類(戸建て・マンション・公団住宅)によって、恐ろしいほどサイズが違うんですよ。
具体的には、カインズホームで扱っている主なウッドカーペットの規格には「団地間(だんちま)」と「江戸間(えどま)」の2種類があります。この2つの違いを甘く見てはいけません。
| 規格名 | 6畳の想定サイズ(約) | 主な対象住宅 |
|---|---|---|
| 団地間 | 243cm × 345cm | 公団住宅、アパート、一部マンション |
| 江戸間 | 260cm × 350cm | 一般的な戸建て、一部のマンション |
見てください。同じ6畳用でも、短辺で約17cm、長辺で約5cmもの差があります。もし、あなたの部屋が「団地間(243cm幅)」なのに、間違って「江戸間(260cm幅)」のカーペットを買ってしまったらどうなると思いますか?縦横ともにサイズオーバーで、物理的に敷くことができません。
【ここが重要!】
柔らかい絨毯なら端を折り曲げて使うこともできますが、ウッドカーペットは「硬い板」です。部屋の実寸より1cmでも大きいと、壁にぶつかって浮き上がってしまい、設置は不可能です。逆に小さすぎる分には隙間ができるだけで済みますが、大きい場合は「切る」しかありません。
パッケージに大きく書かれた「6畳」という文字だけを信じず、必ずメジャーを持って部屋の「縦・横」をミリ単位で測ってください。特に築年数の古い建物や公団住宅は「団地間」のケースが多いですが、リフォームされてサイズが変わっている場合もあるので、実測が唯一の正解です。また、部屋は必ずしも真四角ではありません。念のため、端・中央・端の3箇所を測り、一番短い寸法を基準にするのがプロの鉄則です。
店舗でカットは不可?木材加工サービスの真実
カインズホームといえば、購入した木材を安価でカットしてくれる便利な「木材カットサービス」が有名ですよね。「サイズが合わなければ、店で切ってもらえばいいや」と考えている方も多いでしょう。しかし、ウッドカーペットに関しては「カット対象外」として断られるケースが非常に多いのが現実です。
「えっ、木材なのにどうして?」と思われるかもしれませんが、これには明確な理由があります。それはウッドカーペットの構造です。一見ただの板に見えますが、実は薄いMDF(中密度繊維板)や合板の裏に、不織布やゴム、そして強力な接着剤が使われている「複合素材」なんです。
なぜ店舗の機械では切れないのか

ホームセンターの工作室にある巨大なパネルソー(木材切断機)は、純粋な木材を切るために精密に調整されています。ここに接着剤やゴムを含んだウッドカーペットを通すと、以下のようなトラブルが起きるリスクがあります。
- 刃こぼれのリスク:接着剤や異素材が刃に付着・干渉し、数万円もする高価なチップソー(刃)を一発でダメにしてしまう恐れがあります。
- 切断面の品質低下:高速回転する刃で繊維質の裏地(不織布)を切ろうとすると、刃に巻き込まれて汚くなったり、表面の化粧シートがバリバリに剥離したりします。
- 機械の故障:巻き込みによる機械の緊急停止など、安全上のリスクも懸念されます。
一部の店舗や担当者の判断で「直線カットのみ」対応してくれる可能性もゼロではありませんが、カインズの公式サイトや一般的なFAQでは「加工不可商品」のカテゴリに含まれることが多いです。重い商品を苦労して売り場まで運んだのに「ここでは切れません」と断られて途方に暮れないよう、事前に店舗へ電話確認することを強くおすすめします。
自分でカットする際の必要な道具と失敗しないコツ
店舗で切ってもらえないとなると、残された選択肢は「自分で切る(セルフカット)」しかありません。私も現場で何度もサイズ調整のためにカットをしてきましたが、正直に言ってウッドカーペットのセルフカットは、カッター一本でやるにはかなりの重労働とコツが必要です。
絶対に用意すべき道具


まず、ご家庭にある普通の事務用カッターやハサミでは歯が立ちません。怪我のもとですので、以下の道具をホームセンターで一緒に揃えてください。
- 大型カッターナイフ(L型):刃が太く、力を入れやすいもの。
- カッター替刃黒刃(くろば):通常の銀色の刃よりも鋭利な「職人用」の替刃です。切れ味が段違いです。ただし、鋭利な分耐久性は通常刃より弱いので、力を入れ過ぎたら刃が折れて跳ね返ってきたりするので使用の際はゴーグルなどの顔を保護する保護用品を身に着けておいた方が良いです。
- 長尺定規:1m以上のアルミ製またはステンレス製。プラスチック製はカッターの刃で削れてしまい、直線が引けなくなります。
- 軍手:切断面は鋭利で、手袋なしだとスパッと指を切ります。滑り止め付きが必須です。
- ノコギリ:出来れば胴付きの手引きのノコギリです。木目とは逆目に部分を切断する際に必要です。
カットの難易度とコツ
ウッドカーペットのカットには、「幅(短辺)を詰める」場合と、「長さ(長辺)を詰める」場合で難易度が天と地ほど違います。
1. 幅(短辺)を縮める場合:【難易度:低】
これは比較的簡単です。ウッドカーペットは数センチごとの板(スラット)がつながった構造をしているため、板を切るのではなく、板と板の間の「継ぎ目(溝)」にカッターを入れて、裏のシートを切るだけで切り離せます。カッターを数回滑らせれば簡単にカットできます。
2. 長さ(長辺)を縮める場合:【難易度:超高】
こちらが地獄です。硬いMDFの板そのものを横断して切断する必要があります。ノコギリを使うと断面がガタガタになりやすく、表面の化粧シートが剥がれて見栄えが悪くなります。カッターを使う場合は、定規を強く当てて、一度で切ろうとせず、「薄い線を何度も重ねて彫っていく」イメージで、20回〜30回ほど刃を通す必要があります。
長辺カットが必要な場合、無理に自分でやると失敗するリスクが高いです。「部屋の形が複雑」な場合は、最初からオーダーカット対応のネット通販を利用する方が、結果的に安上がりで綺麗に仕上がることが多いですよ。
軽自動車に乗る?持ち帰りの梱包サイズと限界

「カインズなら家から近いし、送料もかからないから車で持って帰ろう」。そう考えている軽自動車ユーザーの方、ここが最大の落とし穴です。購入する前に、ご自身の車の「車内長」を把握していますか?
6畳用のウッドカーペット(1枚敷きタイプ)は、丸めた状態でも長さが約260cm〜270cmあります。直径は20〜30cm程度と細いですが、この「2.6メートル」という長さの棒を車に積むのは至難の業です。
車種別・積載シミュレーション
- 軽乗用車(アルト・ミライース等):【× 不可】
助手席を倒しても、ダッシュボードからリアゲートまで直角に2.6mを確保できる車種はほぼありません。ハッチバックが閉まらない状態で走行するのは道路交通法違反になります。 - 軽ハイトワゴン(N-BOX・タント・スペーシア等):【△ 条件付きでギリギリ】
助手席を完全にフラットにし、ダッシュボードの上まで活用して「斜め」に差し込めば、ギリギリ入る可能性があります。しかし、フロントガラスに接触して割れるリスクや、左サイドミラーの視界が遮られるリスクがあり、非常に危険です。養生毛布が必須です。 - ミニバン・ワンボックス(ノア・ハイエース等):【○ 余裕】
2列目・3列目シートを倒せば問題なく積載可能です。
無理やり押し込んでフロントガラスにヒビが入ったら、修理代でウッドカーペットが何枚も買えてしまいます。軽自動車やコンパクトカーの方は、自力での持ち帰りは諦めたほうが賢明です。
配送不可も?トラック貸出や送料の確認事項
「車に乗らないなら、配送してもらえばいいや」と思うかもしれませんが、ここにも物流業界の「2024年問題」の壁が立ちはだかります。ウッドカーペットのような「長尺重量物(3辺合計260cm超)」は、佐川急便やヤマト運輸などの通常の宅配便ネットワークに乗せることが難しくなっており、カインズの店舗によっては「配送不可」や「特定大型送料(高額)」になる商品として扱われていることがあります。
カインズの「軽トラック無料貸出」を活用する

そこで最も現実的な解決策となるのが、カインズが提供している「軽トラック無料貸出サービス」です。多くの店舗で、大型商品を購入した会員向けに、60分〜90分程度無料でトラックを貸してくれます。
これなら長さの問題は解決しますが、注意点が2つあります。
一つ目は「時間の制約」です。往復と積み下ろしを含めて60分〜90分以内で戻らなければならないため、自宅が店舗から遠い場合は利用できません。
二つ目は「積み下ろしはセルフ」であることです。ウッドカーペット(特に6畳MDFタイプ)は重量が25kg近くあります。米袋30kgに近い重さの長細い棒を、一人でトラックから降ろし、自宅の2階まで上げるのは成人男性でも至難の業です。このサービスを利用する場合は、必ず力のある協力者を確保してから購入に向かいましょう。
カインズホームと他社のウッドカーペットを徹底比較

ここまでカインズでの購入ハードルをお話ししましたが、「じゃあ他のお店はどうなの?」と気になりますよね。競合であるニトリや、ネット通販専門店と比較することで、あなたのライフスタイルに合った購入先が見えてきます。
DIY床材・ウッドカーペットの専門店【ELEMENTS】ニトリとの違いは?価格や重量と分割タイプ
家具インテリアの巨人、ニトリもウッドカーペットを扱っています。カインズとの最大の違いは、「2枚分割(2枚割り)タイプ」のラインナップが豊富な点でしょう。
ニトリのウッドカーペットには、6畳を「3畳×2枚」に分割して梱包している商品があります。これなら梱包サイズは長さ約130cmになり、軽自動車の後部座席やトランクでも余裕で持ち帰れます。重量も半分ずつになるため、女性一人でもエレベーターへの搬入や、部屋での設置作業が可能になります。価格帯についても、カインズの主力「CN2D」シリーズとニトリ製品は、だいたい2万円台半ばと同等レベルで競っています。
ただし、メリットばかりではありません。分割タイプには致命的なデメリットとして、敷いた時に部屋の真ん中に「つなぎ目」ができてしまいます。見た目の美しさやフラットさを最優先するならカインズの1枚タイプ、運搬のしやすさを取るならニトリの分割タイプ、という選び方ができます。
ネット通販ならオーダーカットや配送が完結

「部屋の形に合わせてきれいに敷きたい」「車もないし運ぶのも大変」という方には、実はカインズやニトリのような実店舗よりも、楽天やAmazonに出店している「インテリアショップゆうあい」や「ELEMENTS」などのネット通販専門店が圧倒的に有利です。
ネット専門店では、オプション料金(1辺あたり1,000円〜2,000円程度)を払うことで、1cm単位でのオーダーカットに対応してくれます。さらに、部屋の柱の形に合わせた「L字カット」や「斜めカット」まで対応している店舗もあります。プロが専用機械で切るので、切り口も非常にきれいです。
そして何より、西濃運輸などの大型配送業者が玄関先(マンションならエントランスまでが多いですが)まで配送してくれるため、レンタカーを借りたり、無理して車に詰め込んだりする苦労がありません。
カインズで買って自分で切る苦労や、トラックを借りて往復する時間を時給換算してみてください。数千円のカット代や送料は、失敗のリスク回避と手間の削減を考えれば、決して高くはない投資と言えるでしょう。
実際の評判は?傷つきやすさや継ぎ目の口コミ
カインズのウッドカーペット(特に安価なプリント化粧板タイプ)の評判をリサーチすると、「手軽に和室が洋室になった」「部屋が明るくなった」というポジティブな声が多い一方で、耐久性に関してはシビアな意見もあります。
表面はあくまで「プリントシート(木目を印刷した紙やビニール)」なので、本物の木材ではありません。キャスター付きの椅子を直に使ったり、鋭利なものを落としたりすると、表面がペリッと剥げて下地(MDF)が見えてしまうことがあります。また、板と板の継ぎ目の溝にゴミが溜まりやすい、素足で歩くと継ぎ目の段差が気になる、といった口コミも見られます。
これらはカインズ製品に限らず、1万円〜2万円台の安価なウッドカーペット全般に言えることですが、「本格的なフローリング工事(十数万円)」と同じ耐久性や質感を期待するのは禁物です。あくまで「簡易的なリフォーム材」として割り切って使うのが正解です。
DIY床材・ウッドカーペットの専門店【ELEMENTS】設置での失敗談から学ぶカビやダニへの対策
私がリフォーム現場で最も恐ろしいと感じるのは、数年使ったウッドカーペットをめくった時の状態です。メンテナンスをせずに敷きっぱなしにしていた畳が、湿気で真っ黒に変色していたり、大量のダニの死骸が出てきたりすることがあるのです。
畳は本来「呼吸」をして調湿する素材ですが、その上に通気性の悪いウッドカーペットで蓋をしてしまうと、湿気の逃げ場がなくなり、カビやダニの温床になるリスクが跳ね上がります。
これを防ぐためには、「敷いて終わり」ではなく、設置前に必ず「防ダニ・防カビシート(除湿シート)」を畳とウッドカーペットの間に挟むことを強くおすすめします。カインズでも専用のシートが売っていますので、これはケチらずにセットで購入してください。また、年に1〜2回はカーペットをめくって換気をするのが理想です。
賃貸物件の退去時には「原状回復」が求められます。カビで畳をダメにしてしまうと、退去時に高額な畳の張り替え費用を請求される可能性があります。国民生活センターの事例でも、退去時のトラブル相談は後を絶ちません。(出典:国民生活センター『賃貸住宅の退去』)
カインズホームのウッドカーペットか専門店かの結論

最後に、あなたがどこで買うべきかの結論をまとめます。
カインズホームでの購入がおすすめな人:
- 今日すぐに部屋を変えたい、即日性が最優先の人。
- ミニバンやハイエースなど、大きな車を持っていて運搬が苦にならない人。
- 部屋のサイズが規格通りで、カットの必要がない人。
- 実物を見て、色や質感を確かめてから買いたい人。
ネット通販専門店での購入がおすすめな人:
- 軽自動車しか持っていない、または車がない人。
- 部屋のサイズが中途半端で、カットが必要な人。
- 自分で切る自信や道具がなく、プロに綺麗に仕上げてほしい人。
- 重い荷物を運ぶ力仕事をしたくない人。
DIYは「無理なく楽しむ」のが一番です。ご自身の環境やスキルに合わせて、後悔のない選択をしてくださいね。

