畳の江戸間と本間の違いとは?サイズや6畳の面積を徹底比較

新生活の準備や実家のリフォームを検討する中で、和室の広さについて疑問を抱いたことはありませんか。不動産情報の図面には同じ「6畳」と記載されていても、実際に家具を置いてみると「あれ、思ったより狭いな」と感じたり、逆に「カーペットのサイズが全然合わない」と困惑したりするケースは後を絶ちません。実は、畳には地域や建物の種類によって明確な規格の違いがあり、その寸法はセンチ単位で大きく異なります。特に、近年ではマンションやアパートで主流の団地間や、特定の地域で見られる中京間などが混在しており、判断がいっそう難しくなっています。私が長年、工務店や畳の現場で培ってきた経験と知識を整理し、失敗しないための見分け方や対策について詳しくお話しします。

  • 江戸間や本間などの規格による具体的なサイズや面積の違い
  • 同じ畳数でも部屋の広さが地域で異なる理由と歴史的背景
  • 家具配置やカーペット選びで失敗しないための実践的な知識
  • 畳の張り替えやリフォーム時に発生する費用差と注意点

畳の江戸間と本間の違いである寸法や面積の基礎

畳のサイズに関するトラブルを未然に防ぐためには、まず日本国内で流通している主要な規格と、その具体的な寸法を正しく理解することが第一歩です。「畳なんてどれも同じ長方形だろう」という思い込みが、後の家具選びやリフォーム計画で大きな誤差を生む原因となります。

本間や京間と江戸間のサイズをセンチで比較

日本の住宅で使われている畳の規格は、大きく分けて4つの種類が主流です。私がお客様の現場調査に伺う際も、まずはメジャーを当ててこの「規格」を特定することから作業が始まります。それぞれの寸法には明確な違いがありますので、下の表で確認してみましょう。

規格名称別名1畳のサイズ (cm)主な使用地域・建物
本間京間・関西間・六三間191.0 × 95.5関西・中国・四国・九州地方の戸建て・旧家
中京間六尺間(三六間と呼ぶこともあり)182.0 × 91.0愛知・岐阜・三重などの中京圏、東北・北陸の一部
江戸間関東間・五八間・田舎間(昔京都が中心だった頃の古い呼び方)176.0 × 88.0関東・東北・北海道、全国の一般的な建売住宅
団地間公団サイズ・五六間170.0 × 85.0全国の公団住宅・アパート・マンション

表を見ていただくと分かる通り、最も大きな「本間(京間)」と、集合住宅でよく使われる「団地間」を比較すると、長辺(長い方の辺)だけで約21cm、短辺(短い方の辺)で約10.5cmもの差があります。これはスマートフォン1台分以上の長さの違いに相当します。

本間は、その名の通り「本来の間」という意味合いを持ち、安土桃山時代から続く格式あるサイズです。一方、江戸間は関東での都市開発に伴い効率化されたサイズであり、現代の多くの住宅ではこの江戸間サイズ、あるいはさらにコンパクトな団地間サイズが採用される傾向にあります。「畳1枚分のスペース」という感覚が、住む地域や建物によって全く異なるという事実を、まずはしっかりと認識しておきましょう。

6畳の平米数は何㎡になるか規格別に解説

寸法の違いが分かったところで、次は「部屋全体の面積」に換算して比較してみます。不動産広告でよく見る「和室6畳」という表記ですが、これが平米数(㎡)に直すとどれくらいの広さになるのか、具体的に計算してみましょう。

規格6畳の総面積 (㎡)坪数換算 (約)本間を100%とした比率
本間 (京間)約 10.94 ㎡3.31 坪100%
中京間約 9.93 ㎡3.00 坪約 91%
江戸間約 9.29 ㎡2.81 坪約 85%
団地間約 8.67 ㎡2.62 坪約 79%

衝撃の事実:約2.27㎡の差
本間の6畳(約11㎡)と団地間の6畳(約8.7㎡)を比較すると、その差は2.27㎡にもなります。これは、畳の枚数に換算すると「1枚分以上」の差であり、一般的なシングルベッド1台分よりも広い面積です。同じ家賃、同じ「6畳」の物件でも、この規格の違いだけで使えるスペースが劇的に変わってしまうのです。

ちなみに、不動産広告のルールを定める「不動産公正取引協議会連合会」では、居室の広さを畳数で表示する場合、「畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル以上」という意味で用いることと定義しています(出典:不動産公正取引協議会連合会『不動産の表示に関する公正競争規約施行規則』)。この1.62㎡という数字は、表の中にある「中京間」と「江戸間」の中間くらいのサイズを最低ラインとして想定しているわけですが、実際にはこれより小さい団地間も多く流通しているのが現状です。

団地間と江戸間の違いや地域ごとの分布特徴

一般的に「西日本は本間(京間)、東日本は江戸間」という図式で語られることが多いですが、現代の住宅事情はもっと複雑に入り組んでいます。私がリフォームの現場で見てきた実情をお伝えします。

まず、関西エリアであっても、高度経済成長期以降に建てられた団地やマンション、あるいは近年の建売住宅では、コストダウンと施工効率を優先して「団地間」や「江戸間」が採用されているケースが非常に多いです。「大阪だから本間だろう」と思って家具を買うと失敗する典型的なパターンです。

また、愛知県、岐阜県、三重県などの中京圏では、伝統的に「中京間(三六間)」が使われてきました。この中京間は、現代の住宅設計の基準寸法である「尺モジュール(910mmグリッド)」と相性が良いため、東北地方の一部や北陸地方、さらには沖縄や奄美大島の一部でも見られることがあります。

注意したい「六一間(ろくいちま)」
広島県や岡山県などの山陽地方、あるいは山陰地方の一部では、「六一間(185cm×92.5cm)」という独自の規格が存在します。これは中京間よりも少し大きく、本間よりは小さいという絶妙なサイズです。このエリアで古い物件をリフォームする際は、既製品の畳やカーペットが合わない可能性が高いため、特に入念な現地調査が必要です。

賃貸でも可能な畳サイズの測り方と見分け方

「引っ越し先の畳のサイズが分からない」「今住んでいる家の規格を知りたい」という方に向けて、私たちプロが実践している正確な測り方を伝授します。用意するのは、できれば金属製のメジャー(コンベックス)です。洋裁用の柔らかいメジャーは伸び縮みして誤差が出やすいのでおすすめしません。

1. 畳1枚ではなく、部屋全体を測る

畳1枚だけを測って「88cmだから江戸間だ」と判断するのは危険です。畳は長年の使用で圧縮されたり、隙間ができたりしています。正確な規格を知るには、部屋の壁から壁までの距離(内寸)を測り、それを畳の枚数で割るのが確実です。

2. 「縁(へり)」も含めて計測する

畳の寸法とは、イ草の面だけでなく、周囲の布製の「縁」を含んだ大きさのことです。縁の内側だけを測ってしまうと、実際よりも小さく見積もってしまい、オーダーカーペットなどで隙間ができる原因になります。

3. 部屋の歪みを考慮して複数箇所測る

日本の住宅、特に木造建築は、築年数が経つと微妙に建物が歪むことがあります。部屋が完全な長方形ではないことも多いため、部屋の端、中央、もう一方の端と、最低でも2〜3箇所で縦横の長さを測ってください。カーペットなどを購入する場合は、測った中で「最も短い数値」を基準にすると、入らないというトラブルを防げます。

柱割りと畳割りの歴史が生んだ規格の差

なぜ、狭い日本の中でこれほどまでに畳のサイズがバラバラになってしまったのでしょうか。その背景には、日本の建築技術の変遷と歴史的な事情が深く関わっています。

もともと関西地方で発展した数寄屋造りや茶室などの建築では、「畳割り(たたみわり)」という設計手法が主流でした。これは、「畳の大きさ(本間サイズ)」を絶対的な基準とし、畳を並べた外周に合わせて柱を立てる方法です。この工法では、部屋の大きさに関わらず畳のサイズは常に一定であり、畳は「建物の一部」というよりも「家具」のような感覚で、使い回しが可能でした。

一方、江戸時代に入り関東での都市開発が急ピッチで進むと、大工の手間を減らして工期を短縮するために「柱割り(はしらわり)」という工法が生まれました。これは、柱の中心から中心までの距離(1間=約181.8cm)を基準に柱を立て、その内側の隙間に合わせて畳を作る方法です。柱には太さがあるため、その分だけ畳を敷けるスペースは狭くなります。その結果、本間よりもひと回り小さい「江戸間」が誕生したのです。

現代のハウスメーカーやプレハブ住宅の多くは、施工の合理性からこの「柱割り(尺モジュール)」の考え方を継承しています。そのため、全国的に江戸間サイズや、さらに効率化された団地間サイズが標準化していったのです。

畳の江戸間と本間の違いが生活や費用に与える影響

規格の違いは、単なる数値上の話ではありません。実際にそこで生活をするとなると、家具のレイアウト、インテリア選び、そして家のメンテナンス費用に至るまで、様々な場面で具体的な影響が出てきます。

江戸間6畳の部屋にベッドを配置するコツ

和室を寝室として使う場合、ベッドの配置は最大の悩みどころです。一般的なシングルベッドのマットレスサイズは、幅約97cm×長さ約195cmですが、フレームを含めると長さは200cm〜210cm程度になります。

本間6畳(286cm×382cm)の場合、長辺方向にベッドを置いても、足元には約170cm以上のスペースが残ります。これなら、デスクやドレッサーを置いても十分な動線を確保できます。
しかし、江戸間6畳(261cm×352cm)の場合、同じベッドを置くと残りのスペースは約140cm程度になります。ここに奥行き60cmの学習机を置き、椅子を引くスペース(約80cm)を考えると、動線はギリギリです。

クローゼットの扉に注意
江戸間の部屋にベッドを配置する際、最も多いトラブルが「クローゼット(押し入れ)の扉が開かなくなる」というものです。折れ戸や開き戸の場合、扉が開くための可動域が必要です。江戸間の狭さを考慮せずベッドを壁寄せしすぎると、クローゼットが「開かずの間」になってしまうリスクがあります。ヘッドボードのないシンプルな脚付きマットレスを選ぶなど、家具自体のサイズを抑える工夫が必要です。

6畳用カーペットのサイズ選びで失敗しない方法

ホームセンターやネット通販で「6畳用」として販売されているカーペットやウッドカーペット。パッケージには大きく「6畳」と書かれていますが、裏面の細かい仕様を見ると、そのほとんどが「江戸間サイズ(約261×352cm)」を基準に作られています。

もし、あなたのお部屋が「団地間」だった場合、江戸間用のウッドカーペットを購入してしまうと、縦横ともにサイズが大きすぎて敷くことができません。ウッドカーペットは硬質素材でできているため、家庭用のカッターやハサミで綺麗に切断するのは至難の業です。返品送料がかかるか、最悪の場合は粗大ゴミになってしまいます。

逆に、お部屋が「本間」だった場合、江戸間用のカーペットを敷くと、部屋の四隅に大きな隙間ができてしまいます。畳の日焼けを防ぐ目的でカーペットを敷いたのに、端の方だけ古い畳が見えてしまい、そこにホコリが溜まるという残念な結果になりかねません。必ず「団地間用」「本間用」と明記された商品を選ぶか、お部屋の実寸に合わせてカットしてくれる「オーダーカットサービス」を利用することを強くお勧めします。

畳の表替えやリフォーム費用の相場と価格差

長く住んでいると必要になる「畳の表替え」や「新調」。ここでもサイズの違いが費用に直結します。多くの畳店やリフォーム会社のチラシに載っている「1枚 〇〇円〜」という最安値価格は、基本的に「江戸間(五八間)」を基準に設定されています。

本間(京間)の畳を作るためには、江戸間用よりも長い、生育期間の長い高品質なイ草が必要になります。短いイ草では幅が足りず、畳表を織ることができないからです。そのため、本間サイズの施工費用は、江戸間サイズに比べておおよそ1.2倍〜1.3倍(20%〜30%アップ)になるのが業界の通例です。

「6畳で3万円くらいで済むと思っていたら、見積もりを取ったら4万円を超えていた」という場合、その原因はお宅の畳が「本間」などの大きな規格だったからである可能性が高いです。予算を組む際は、この「サイズ割増」をあらかじめ考慮しておく必要があります。

人気の琉球畳やへりなし畳へ交換する注意点

最近の和室リフォームで圧倒的な人気を誇るのが、縁(へり)のない正方形の畳を市松模様に敷き詰める「琉球畳(へりなし畳)」です。モダンでおしゃれな空間になりますが、ここにもサイズの落とし穴があります。

ホームセンターなどで手軽に買える「置き畳(フローリングの上に置くタイプ)」は、82cm角88cm角といった、江戸間の半畳サイズを基準にしたものが主流です。これを本間の部屋に敷き詰めようとしても、当然ながら寸法が足りず、壁際に中途半端な隙間ができてしまいます。

本格的に畳を入れ替えて琉球畳にする場合、本間の部屋(幅約95.5cm)に合わせるには、通常よりも幅広の特注サイズで製作しなければなりません。材料となる「七島イ草(しっとういぐさ)」や「和紙表」も特大サイズが必要となり、通常の畳替え費用の2倍、場合によってはそれ以上のコストがかかることも珍しくありません。(*七島イ草はかなりレアな畳表の為、非常に高価で在庫もないので、ご購入を考える際は専門店に相談した方が良いです。)

本間から江戸間へのサイズ変更は可能か

「本間の畳は張り替え費用が高いし、既製品のカーペットも合わないから、リフォームで一般的な江戸間に変えたい」というご相談をいただくことがあります。技術的に可能かと言えば、「本間から江戸間」への縮小変更は可能です。

ただし、単に畳を小さくするだけでは、壁と畳の間に大きな隙間ができてしまいます。この隙間を埋めるために、「畳寄せ(たたみよせ)」と呼ばれる部材を太くしたり、周囲に板の間(フローリング部分)を作ったりする造作工事が必要になります。これには大工工事の手間賃が発生するため、将来的な畳のメンテナンス費用が安くなったとしても、初期投資としてはかなり高額になりますし、部屋自体も狭くなってしまいます。

逆に、「江戸間の部屋を本間に広げたい」という要望は、柱や壁の位置を動かす必要があるため、建物の構造に関わる大規模な工事となり、現実的ではありません。

畳の江戸間と本間の違いを理解し三条たたみへ

ここまで詳しく解説してきたように、畳の江戸間と本間の違いは、単なる「数センチの差」では片付けられない大きな問題です。部屋の有効面積、家具の選び方、リフォーム費用、そして日々の暮らしやすさに直結する重要な要素です。まずは、ご自宅の和室の縦横をメジャーで測り、自宅がどの規格に当てはまるのかを知ることから始めてみてください。

もし、ご自身での計測に不安があったり、「うちは団地間でも江戸間でもない特殊なサイズかもしれない」と感じたりした場合は、プロの専門業者に相談するのが最も確実な解決策です。例えば、三条たたみのような全国展開している実績ある畳店であれば、無料で見積もり診断を行ってくれます。江戸間や本間はもちろん、規格外のサイズや、薄畳、ヘリなし畳など、あらゆるケースに対応できるノウハウを持っています。サイズの違いを正しく理解した上で、あなたのライフスタイルに最適な和室作りを実現してください。

タイトルとURLをコピーしました